オーストラリア・マーケターの桑田 恭です。
前回まで、オーストラリアの恵まれた住環境について紹介させて頂きました。今回からは日本と共に高齢化社会への移行が進むオーストラリアでの社会保障、福祉分野での取組みについて取り上げたいと思います。
オーストラリアは老後の安心を約束すべく、国と企業が手厚い老後保障を提供しており、社会保障、福祉政策の分野で、他国の見本となる立場にあります。
退職後の年金は2種類あり、そのうち今回は無拠出の老齢年金について紹介します。
以下、参考図書(『豪州読本 :オーストラリアをまるごと読む』)からの引用です。なお、情報は出版時(2011年2月)のものである点、ご留意下さい。
” 退職後老後の年金(公的)には2種類がある。
1つは無拠出の老齢年金で、財源はすべて国の予算(税)で賄われている。以前は60歳になれば支給されていたが、現在65歳からの支給開始になっている。
一般的に最高保障年金は、単身で月約1,000ドル、夫婦で約1,800ドルである。なぜ最高保障年金なのかは、支給する前に資格調査でミーンズテストという所得と資産審査があり、あるレベル以上になると年金が減額されたり、支給されない。
所得に関して言えば、夫婦の場合、月456ドル以下の収入であれば、全額最高保障年金が支給される。 それ以上になると1ドルあたり20セントの減額になる。さらに月当たり4,657ドル以上の収入がある人は、基本的にこの年金は受給できない。
また、資格審査に関しては、持ち家とそれ以外の人によって違うレベルが設定されている。持ち家の場合、夫婦で資産総額22万9,000ドル以下、 持ち家でない場合、34万6,000ドル以下であれば全額保障となる。ちなみに、夫婦の場合、資産合計が持ち家で50万9,500ドル、持ち家でない場合62万6,500ドルを超えると給付がない。公平さを欠かないような制度になっている。”
自営業者は制度の適用外であるとのこと。一概に言えないもののアデレード、パースといった都市では、夫婦2人で22,000豪ドル(日本円換算、250万円程度)あれば、質の伴った老後生活を過ごせるようです。概ね年金でカバー出来ることになり、冒頭の「老後の安心」も、うなずけます。
次回は、もう一つの公的年金、スーパーアニュエーションについて取り上げます。
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