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バングラデシュ基本情報

バングラデシュは、1947年の印パ分離独立時は宗教(イスラム)に基づき、一旦はパキスタンへの帰属(東パキスタン)を選択したが、ベンガル人としてのアイデンティティーを訴えた独立戦争(第三次印パ戦争)を経て、1971年12月にパキスタンから独立した。

<民族・言語・宗教>
民族はベンガル人が大部分(98%)を占めるが、東部ミャンマー国境や北部インド国境沿いには少数民族が居住している。

公用語はベンガル語。ベンガル語に加え英語も官公庁や教育機関で使用されており、事実上の公用語となっている。

宗教構成は、イスラーム教徒89.7%、ヒンドゥー教徒9.2%、仏教徒0.7%、キリスト教徒0.3%(2001国勢調査)。 バングラデシュはイスラム教徒が多数派であるが、どの宗教を信仰しているかということ以上に同じベンガル民族であるという意識の方が重要視されている。

<地理・気候>
バングラデシュの国土の大部分はインド亜大陸のベンガル湾沿いに形成されたデルタ地帯である。このデルタ地帯を大小の河川やカールと呼ばれる水路が網の目のように走っている。 沼沢地とジャングルの多い低地であり、ジャングルはベンガルトラの生息地として知られる。

バングラデシュの土壌は肥沃で水に恵まれることから水田耕作に適しているが、洪水と旱魃の双方に対して脆弱で、しばしば河川が氾濫し多くの被害を及ぼす。しかしデルタ地帯はきわめて人口密度が高い。 国内の丘陵地は南東部のチッタゴン丘陵地帯(最高地点:ケオクラドン山、1230m)と北東部のシレット管区に限られる。

国土のほとんどが熱帯モンスーン気候帯に属している。1年は雨季と乾季、その間の変遷期と、暦の上では6季ある。一般的には4~5月の暑季(小雨季とも)、6~10月の雨季、11~3月の乾季に分けられる。 4~5月と10~11月頃の季節の変わり目の時期にサイクロンが襲来し、大きな洪水をもたらしている。

<政治・外交・軍事>
旧イギリス植民地としてイギリス連邦に加盟するが、共和政体であるため総督を置かず元首は大統領。 しかしその大統領は原則として儀礼的職務を行うだけの象徴的地位で、首相と最高裁判所長官の任命以外は、首相の助言に従い行動する。

行政府の長である首相は、議会選挙後に、勝利した政党の党首を大統領が任命する。議会は一院制(300議席)、任期5年。

国内の民族問題としては、1997年の和平協定調印によって国内唯一の山岳地帯であるチッタゴン丘陵地帯における少数民族とベンガル人入植者との間での抗争が終結したものの、 和平協定の実施が十分になされていないという少数民族側の不満があり、現在も問題解決に至っていない。 さらにはミャンマーからロヒンギャ族がバングラデシュに難民として流入しており、数十万人が合法的身分を持たずにコックスバザールなどのバングラデシュ国内で生活しているという問題も続いている。

外交は、近隣諸国・イスラム諸国との友好関係維持、日本を含む主要援助国との協力関係強化路線を取っている。現政権は、東南アジア及び東アジア諸国との関係強化を推進しつつ、 隣国インドとの関係強化にも積極的に取り組んでいる。

軍の兵力は約14万人。志願兵制度。バングラデシュ軍は過去何度か軍事政権を樹立し、現在でも政治に大きな発言力を持つ。またPKO(国連平和維持活動)に積極的に参加し、要員派遣数は全派遣国中1位(2015年9月現在)。

<経済>
人口の約半数(48%)が農業に従事する農業国。主要農産品はコメおよびジュート(コウマ・シマツナソ)。 ジュートは輸出品としても重要な産物であるが、1980年代以降化学繊維に押され重要性は下がってきている。 ジュートに次ぐ輸出農産品は紅茶であり、紅茶の名産地として知られるインドのアッサム州に隣接する北部シレット地方において主に栽培されている。19世紀には藍の世界最大の産地であったが、化学染料の発明と普及により生産は激減した。

繊維工業の発展は、経済成長によって繊維生産が不振になり始めた韓国や香港からの投資をきっかけに、1970年代に起こり始めた。近年では中国の労働コスト上昇に伴い、バングラデシュの廉価な労働コスト(月給が中国の1/3)が注目されており、繊維製品等の軽工業製品の輸出は増大している。 これにより、ようやく軽工業が発展し辛うじて経済発展の緒に就いたと言える。

労働力輸出による送金収入はバングラデシュの貿易赤字を埋めるために有効な手段の一つとして定着している。 出稼ぎ先はイスラム教国が多く、最大の出稼ぎ先はサウジアラビアで出稼ぎ労働者の3分の2を占め、クウェートやアラブ首長国連邦などの湾岸諸国にも多く労働者が向かっている。東では、マレーシアやシンガポールに多い。

バングラデシュは国内外から援助を受けているにもかかわらず、過剰な人口や政治汚職などによって未だに貧困を脱しきることができずにいる。バングラデシュの発展を阻害しているものとしては、多発するサイクロンに伴う氾濫などの地理的・気候的要因、増加し続ける人口要因。能率の悪い運営を改善できない国営企業や港湾などインフラにおける人的要因、効率よく供給・分配できない電力・エネルギーといった資源的要因、加えて政治的な内部争いや崩壊などの政治的要因が挙げられる。

【まとめ】

  • 面積:14万7,000㎢(日本の約4割)
  • 人口:1億5,940万人(2015年10月、バングラデシュ統計局)
  • 首都:ダッカ
  • 民族:ベンガル人98%、東部ミャンマー国境や北部インド国境沿いには少数民族が居住。
  • 言語:ベンガル語、英語
  • 宗教:イスラム教徒89.7%、ヒンズー教徒9.2%、仏教徒0.7%、キリスト教徒0.3%(2001年国勢調査)
  • 政体:共和制
  • 元首:Md. アブドゥル・ハミド大統領
  • 首相:シェイク・ハシナ
  • 国防予算:1284.6億タカ(対経常予算比6.7%)(2012/2013年度)
  • 主要産業:衣料品・縫製品産業,農業
  • 主要輸出品目:ニットウェア(46.2%)、既製品(ニットを除く)(36.0%)、革製品(3.8%)、ジュート製品(3.0%)、石油製品(3.0%)、冷凍魚介類(2.3%)、ホーム・テキスタイル(2.2%)
  • 主要輸入品目:綿花・綿製品(14.9%)、石油製品(10.9%)、機械設備(8.5%)、鉄鋼製品(5.3%)、機械機器(5.1%)、食用油(4.9%)、穀物類(4.5%)
  • 主要貿易相手国(輸出):米国、ドイツ、英国、フランス、イタリア、カナダ、日本
  • 主要貿易相手国(輸入):中国、インド、シンガポール、マレーシア、韓国、日本

参考資料:

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