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オーストラリア 社会保障、福祉分野での取組み②

オーストラリア・マーケターの桑田 恭です。
前回はオーストラリアの年金制度について取り上げ、初回として2種類ある年金のうちの「無拠出の老齢年金」について紹介しましたが、今回は他方の「スーパーアニュエーション」です。

以下、参考図書(『豪州読本 :オーストラリアをまるごと読む』)からの引用となります。

” 2つ目は、スーパーアニュエーションといって、基本的に雇用主が社員、従業員、職員に代わり老後のために積み立てるというものがある。

法律に規定されている雇用主の拠出義務は、現在被雇用者に支払っている給料の最低9%(註:2021年までは9.5%)である。雇用されている人もこれに加えて自分の給料から拠出できる。

スーパーへの拠出金については、拠出できる金額に関して上限があるが、自由なので日本のように負担にならない。まったく拠出しないということもできる。拠出すればそれに見合う額を政府が補助してくれる。

退職後の生活のため企業(雇用主)が積み立て、政府の寄与(補助)を受け貯蓄するということで、退職時に一括支給か分割支給になる。政府の寄付は収入によって違う。この制度は働いているすべての人に適用される。

ただし、月の収入が450ドル以下の人、18歳未満、70歳以上の人には適用しないが、自営業にも適用する制度である。

日本の退職金プラス企業年金ようなものである。この年金制度は、全勤労者の90%以上をカバーし、2,500万口座が存在しており、総資産は、約100兆円にもなる。受給年齢は、1960年以前の生まれでは55歳時、1964年以降の誕生日の人は60歳からである。

年金収入は従来課税されていたが、2007年からは課税対象から外す政策に変更している。現在は年金収入には所得税がかからない。

日本の厚生年金では年金をもらえる資格を取るためには、現在、毎月給料の18.6%(雇用主と従業員の折半)で25年以上拠出する必要がある。

これが65歳から厚生老齢年金が2ヵ月ごとに支給される要件である。日本の場合は退職後の年金生活に関する生活保障は政府財源との兼ね合い、税制改革、受給負担の見直し、消費税の引き上げなど今後の改革により将来どのようになるのか不透明感があり不安がある。

オーストラリアはなぜこのように羨ましい年金制度ができるのか、それは、老後の生活保障は、政府が責任を持ってやるという歴史的哲学と、所得税が日本と比べて高いからである。

高い税金を取って年金を充実されるのか、税金を低く抑えて後は自助努力なのか、それぞれの国の政策である。”

数値に関しては参考図書出版時(2011年2月)のデータとなるため、オーストラリアの老後の生活保障に関する考え方の一端として、お読み頂ければと思います。

日本とは対照的と感じられトピックとして取り上げましたが、日豪間では2009年に発効した社会保障協定により、二重保険料払い込みの解消と日豪国民年金保険の通算が適用されている、との事で、将来的に移住のご計画などをお持ちの方は、ご考慮出来る事柄になると思います。

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