台湾とは、中華民国の政府が実効支配している全地域を指しており、具体的には台湾本島、付属島嶼、澎湖諸島に福建省沿岸の馬祖列島・烏坵島・金門島、および東沙諸島と南沙諸島の一部(太平島、中洲島)を加えた範囲から構成されている。公式には「中華民国自由地区(台湾地区)」。
<民族・言語・宗教>
台湾の民族は、漢民族が98%、原住民が2%という構成になっている。漢民族の内訳は、戦前(主に明末清初)から台湾に居住している本省人(85%)と、国共内戦で敗れた蒋介石率いる国民党軍と共に台湾に移住した外省人(13%)に分かれている。本省人内では、さらに福建(閩南)系と客家系に分けることができる。原住民2%の中には16の民族が公式に認められている。少子化が非常に進んでおり、特殊出生率は日本より低く世界最低レベルである。
台湾の公用語は中国語(北京語)であり、国内では国語と呼ばれている。他にも日常生活では台湾語(ホーロー語、河洛話、福佬語)、場所によっては客家語、台湾原住民の諸言語が使用される。台北地下鉄の車内アナウンスは北京語→福建語→客家語→英語の順番で流れる。時代によって統治者が異なっていたため、世代間で使用している(理解できる)言語も異なり意志の疎通がとれないこともある。また、英語の教育熱が高く、幼稚園時代から英語のみ使用する施設などに子供を預ける者も多い。
台湾における宗教は、道教・キリスト教・仏教が特に盛ん。道教は二大系統のうち、正一教(天師道)の系譜に連なる。キリスト教は、プロテスタントが多数派。
<地理・気候>
国土は36,193 km2(九州と同じくらい)。台湾本土とその周辺諸島(澎湖諸島・蘭嶼など)、および金馬地区と東沙諸島・南沙諸島から構成されている。
気候は中南部の嘉義を通過する北回帰線を境界として、北は亜熱帯気候、南は熱帯モンスーン気候に分類することができる。最南端の恒春は最寒月(北半球中緯度では1月または2月)の平均気温が20度を上回る。台風の襲来が多く、毎年平均3〜4個の台風に襲われているが、台風で給水の大きな部分を賄っている。夏季には台湾語「サイパッホー (sāi-bak-hō)」(普通は西北雨と表記、正しいのは夕暴雨)と呼ばれる猛烈な夕立が多い。
<政治・軍事>
台湾最大の都市は実質的には北部盆地に位置する台北市であり、1949年以降は中華民国の首都機能を果たしている。台北市は行政区分としては中心部の台北市(台湾第四の都市)と郊外の新北市(台湾第一の都市)に分かれている。主要都市の人口は、新北市は395万人、高雄市は277万人、台中市は270万人、台北市は268万人、台南市は188万人。
台湾の最終的な政治的地位および主権が中華民国(台湾)と中華人民共和国どちらに帰属するかという所謂「台湾問題」が政治的には非常に重要な問題となっている。国際政治上の駆け引きから「中国を代表する正統な国家」として中華人民共和国を承認する国が大勢を占めているが、ほとんどの国は、中華人民共和国を「承認」しながら、半官半民の組織を介して中華民国と実務関係を維持している。
民主化後の台湾における政党制は、多党制そして二大政党へと目まぐるしい変化を遂げてきた。2013年時点で登録されている政党数は231あるものの、2008年の第7回立法委員選挙から定数が大幅に削減され、選挙制度も小選挙区主体の制度(小選挙区比例代表並立制)となった結果、新党や台連などの小政党が立法院における議席を殆ど失い、国民党と民進党による二大政党制となった。
国軍である中華民国軍は、正規軍で陸軍約20万人、海軍約4万5000人(内海軍陸戦隊約1万5000人)、空軍約5万5000人、憲兵隊約1万2000人、予備役で約165万人の兵力を擁しており、各軍においてほぼ自衛隊に匹敵する。徴兵制により満19歳以上の男子は、12カ月間の兵役義務を課せられていたが、徴兵制は2012年に停止され4ヶ月の軍事教練期間のみとなり、2015年には廃止される予定となっている。
<経済>
国内総生産 (GDP)に占める農業の比重は減少傾向にあり、1952年には35%であったものが現在では僅か2%となっている。また伝統的な労働集約型の工業はハイテク産業に転換されている。台湾の電子工業は世界経済に大きな比重を占め、多くのコンピューター部品が台湾で生産されその影響力は極めて大きい。貿易相手国としてはアメリカと日本が長期にわたり大きな比重を占めてきたが、近年は中国との貿易額が飛躍的に増大し、そのほかEUや東南アジアへ転換を図りタイ、インドネシア、フィリピン、マレーシア、ベトナムへの国外投資も盛んに行われている。また中国への積極的な投資の結果、現在5万社を超える台湾企業が中国に進出しており、100万人以上が長期にわたり中国に駐在し大きな経済勢力となっている。
軽工業から重工業、そして半導体をはじめとするエレクトロニクス産業へと転換していった台湾経済では、日本でも馴染みのある企業が多く存在し、グローバル化が進められている。アメリカや日本で注文を取り、中華人民共和国やベトナムに製造させるという仲介的戦略は華僑ネットワークに支えられており、全世界ネットを駆使した世界戦略は中華民国独特の強みである。
-台湾に本拠地を置く代表的な大企業-
- TSMC(台湾集成電路製造公司):世界最大の半導体製造ファウンドリ
- 鴻海精密工業 (Foxconn) :台湾に本社を持つ世界最大のEMS(Electronics Manufacturing Service)企業
- ASUS(華碩):パソコンメーカー。マザーボードを始めとするパソコンパーツ、周辺機器などの開発、販売
- エイサー(宏碁・Acer):ゲートウェイブランドも持つ、パソコンメーカー
- ジャイアント・マニュファクチャリング(捷安特・GIANT):自転車メーカー
- エバー航空(長栄航空)
【まとめ】
- 面積: 3万6千平方キロメートル(九州よりやや小さい)
- 人口: 約2,337万人(2013年12月)
- 首都: 台北市
- 言語: 中国語,台湾語,客家語等
- 宗教: 仏教,道教,キリスト教
- 政体: 民主共和制。五権分立(行政,立法,監察,司法,考試)
- 総統: 馬英九
- 国防予算等: 3,070億台湾ドル(103.0億米ドル)
- 主要産業: 電気・電子,鉄鋼金属,繊維,精密機械
- 主要輸出品目: 電子電気機械,鉄鋼金属製品,精密機器,プラスチック製品
- 主要輸入品目: 電子電気機械,原油・鉱産物,鉄鋼金属製品,化学品
参考資料:
Wikipedia 台湾
外務省HP台湾
台湾の原住民族文化
Wikipedia 台湾の政治史
Wikipedia 台湾の経済
写真出典:
Taipei 101 Side View,by Jonathan Choe
Theater + Liberty Square + National Concert Hall / 台灣台北 Taipei, Taiwan / SML.20140213.6D.30750.P1 by See-ming Lee