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カリダス 第7話
<アルバイト初日>

留学生生活を過ごしながら、アルバイトをすることになったカリダスは本当に嬉しそうだった。初アルバイトだったからだろう。次の日もいつも通り朝早く起きて、朝ごはんを食べ、学校に向かった。予定通り学校に着いて席に座ろうとしたところ、ある人が近寄って来て、「君もネパール人?」と言われた。カリダスはびっくりしながら、「うん、はい、そうですけど」と答えた。

実はカリダスが通っていた学校にはカリダスの他にもネパール人留学生が居たのだ。彼はカトマンズ出身ですでにもう1年くらい日本にいるそうだ。
いきなりだったので最初は緊張していたが、時間が経つにつれ、彼(ネパール人の先輩)と話せるようになった。そして9時になり、それぞれの授業が始まった。

今日は作文テストの日だった。各人が自分の好きなトピックを選んで作文を書き、そして最後にみんなの前で発表することになっていた。カリダスは自分が生まれ育ったネパール第二の都市「ポカラ」について作文を書くことにした。自分が生まれ育ったところが好きだったのだろう。

「ポカラは、ネパール中部の第四州の州都であり、カシキ郡都でもある。人口は約23万人で、国内2位だった。カトマンズから西に約200kmの、標高800mの地帯に位置する。白く輝くアンナプルナ山群の峰々とペワ湖やベグナス湖など美しい湖とが織りなす風光明媚な街であり、ネパールのリゾート地、トレッキングの基地としても知られているとこである。」

実際はもう少し長かったが、こんなような作文をみんなの前で発表した。たどたどしい日本語だったが、自信に溢れた発表ではあった。

中国からの留学生は故郷「四川省」について、バングラデシュの留学生は故郷「ジョイデブプール」について、スリランカの留学生は故郷キャンディーについて発表していた。カリダスのみならず、留学生のみんなが故郷について作文を書いたのだった。

「留学生として日本にやって来たものの、心の中には自分が生まれそだったところの風景、季節、自然、人々、バザールが残っているのだろうね、みんな故郷好きなんだな」と先生が全員にフィードバックをしてくれた。

カリダスは先生からのフィードバックを受け、改めて自分の作文を確認した。普段書かないような場所、ポカラの人々、大自然、言語や文化について書いていた。今自分の体は日本にいるけど、心はネパール(ポカラ)にあるんだなぁ。。と思っていた。

このようなこともあり、今日の授業はこれまでと違った授業になったのだった。

昼過ぎに学校が終わり、近くのファストフード店で休憩をしてからアルバイト先に向かった。アルバイト初日でもあったため、凄くどきどきしていた。日本語もそこまで上手くないし、大丈夫かな。。と思いながら、店舗に入った。それから店長に指示に従い、キッチンでの仕事をすることになった。

キッチンのメンバーは、料理長が日本人、中国の留学生が3人とそしてカリダスだった。カリダスは初日だったため一先ず洗い物をすることになる。

(続く)

写真:
  • 「ポカラの風景」著者撮影

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