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GROOVY LIFE in KYRGYZ! ~キルギスで人生をグルーヴ~ Vol.5

オスモノフ中等学校での授業運営

Саламатсыздарбы(こんにちは)!キルギス愛に溢れる男、長谷川貴司です。私の今年のテーマは「音楽×地域活性化」。音楽に溢れるまちづくりや国際交流に積極的に関わっていきたいと思います。そして、この連載コラムを通じて、より多くの方にキルギスという国、文化、人々に興味を持っていただけると幸いです。

2月11日に、東京市ヶ谷にあるJICA地球のひろばにて、「キルギス・デー」というイベントが開催されました。そのイベントでは、13年ぶりにキルギスを訪れたKiroroのトークイベント「Kiroroが見たキルギス」、フェルト製品づくりを体験できるワークショップ、キルギス映画の上映、民族楽器コムズの演奏など、様々なプログラムが実施されました。私はというと、楽曲制作が立て込んでしまい、参加できませんでした ・・・Orz
来年のキルギス・デーは、ぜひ音楽で関わりたいと思います!

さて、オスモノフ中等学校に着任早々、いるはずのIT教師が退職していることがわかり、かなり戸惑いましたが、学校側も私にIT科目をいきなり任せるのは酷だと思ったのか、すぐに新しいIT教師を雇ってくれました。やってきたのは、タチアナ・ヴィクトロヴナ。とても勤勉でパワフルなロシア人で、今も現役バリバリで活躍しています。彼女が校長の補佐をしつつ、情報科学(インフォルマチカ)の授業を担当することになり、私はそのサポートをしていくことになりました。


オレンジ色のセーターを着た女性がタチアナ・ヴィクトロヴナ

情報科学は5年生から11年生までが対象でした。各学年5クラスあり、2クラスがキルギス語コース、3クラスがロシア語コースです。キルギス語コースは国家語のキルギス語で、ロシア語コースは公用語のロシア語で11年間勉強することになります。2言語の教育システムは面白いですね(キルギス語コースの生徒はもちろんロシア語も話せます)。

授業は朝8:00から14:00くらいまであるのですが、教職経験のない私にとって、指導者の立場で毎日6時間授業を運営するというのはとても大変なことでした。膨大なエネルギーを消費します。一方で、日本の会社員生活では味わえない、子供に囲まれるという経験もできました。生徒から若いエネルギーをたくさんもらったおかげで、未だにまったく老いる気がしません(笑)。


日々試行錯誤の授業運営

授業の内容ですが、8年生からはロシアのカリキュラムと教科書に沿って進めます。さすがは最先端の航空宇宙技術をもつロシアの教科書です。いきなり2進数の計算からはじまるという重厚な内容です(笑)。私のロシア語能力で理論を説明するのはハードルが高いため、タチアナ・ヴィクトロヴナに完全にお任せです。私の役割は、「日本だとこういう計算方法で解くよ~」とか、「このテクノロジーは社会にこういう形で使われているよ~」とか、興味をそそる話題を振ることでした。

また、タチアナ・ヴィクトロヴナは校長の補佐もやっているので、授業中にも頻繁に校長に呼び出されます。そんな時が私の出番。教科書は閉じて、Microsoft Officeや、Photoshopなどのソフトウェアを使い倒す実習時間に切り替えるのでした。結果的に、理論と実践をバランスよく配分できたのではないかと思います。

なかなか様になってきた生徒たち

授業の時間割はなかなかのカオスです。クラス間で突然科目を交換したり(他のクラスが授業をうけにくる)、5時間目をなくして、6時間目を繰り上げたり、授業中に職員会議が招集され、全クラス自習になったり、生徒の半分が別の先生のお手伝いとして動員されたりもします。「なに、いまどうなってるの?なんで半分以上が来ないの?君たちは今日じゃないでしょ?」と、生徒に起こっている状況を聞くこともしばしば。

このようなカオスっぷりに、日本人としては違和感を感じて突っ込みたくなるところですが、クリエイティビティやリーダーシップが不足していると言われる日本の現状を考えると、私たちの国こそ、逆に予定があってないようなカオスな環境と、それに対応できる瞬発力や突破力を磨くことが必要かもしれないと思う今日この頃です。


PCを触らせる実習重視の授業運営

農耕民族的に、何事も規則正しく、きっちりとやるタイプであった私が、キルギス生活で手に入れたのは、「予定が狂ってもいちいち動じない・イラつかない・身をまかせる・勢いで攻める」という遊牧騎馬民族精神です。いまでは、計画通りにいかないことがあっても、「ま、キルギスでは普通のことだな」と状況を冷静に俯瞰することができるのです。

ですので、日ごろ物事を計画的に進めようとして、うまくいかずイライラしているあなた。ぜひ、キルギスに短期留学することをお勧めします。
ちなみにキルギスでは、コンサートの開演が19:00と書いてあったとして、19:00に会場に行ってもお客は誰もいません。おそらくスタッフもまだ来ていません(笑)。「コンサートは今日あるのだろうか?」というスリル満点な人生を楽しんでほしいです。


徐々にクリエイティビティを発揮し始める生徒たち(Level1)

今回はここまでです。学校生活編まだまだ続きますので次回もお楽しみに!


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