イスラエルの歴史は紀元前2000年までさかのぼる。記録上最古の出来事は、東部ナイル川デルタ地帯で迫害から逃れたモーゼの時代(約紀元前1300年)。首都はエルサレムであると主張しているが、国際連合などはテルアビブをイスラエルの首都とみなしている。
<民族・言語・宗教>
2014年のイスラエル中央統計局データでは、ユダヤ人(約75.0%),アラブ人その他(約25.0%)となっている。ユダヤ人の定義は、ユダヤ教を信仰しているか母親がユダヤ人。アラブ人の大半はムスリム。イスラエルは移民国家であり、出身地ごとに欧米系をアシュケナジム、アジア・アフリカ系をセファルディム、オリエント系をミズラヒムと呼び、同じユダヤ人でも異なる人種の場合もある。
公用語はヘブライ語。アラビア語は全人口の約15%が使用。英語はほぼ全域で使用可能。テルアビブ市内にはヘブライ語に並んでロシア語の看板なども多く見られる。
イスラエルは宗教の自由を認めている。割合は、ユダヤ教(75.1%),イスラム教(17.3%),キリスト教(1.9%),ドルーズ(1.6%)(2012年イスラエル中央統計局)。イスラエルは宗教婚のみ認めており、民事婚は認めていない。ユダヤ教、イスラム教など各宗教ごとに宗教裁判所が存在し、婚姻などを管轄している。ユダヤ教においては超正統派が婚姻を司っており、宗教法により異教徒間の結婚は認められない。そのためユダヤ教徒以外のものと結婚する場合やその他の事情がある場合は、海外で結婚し、帰国後に結婚証明書を役所に提出するという国外結婚の形をとる。
<地理・気候>
国土は狭く、南北に細長い。南北には470kmあるが、東西は一番離れた地点間でも135km。西の地中海から東の死海までならば車で90分ほどしかかからない。イスラエルは過ごしやすい春、秋の地中海性気候と砂漠気候の両方に属す。北部の冬は広範囲に降雨をもたらし、特にエルサレムでは涼しくなる。北部のハーモン山の斜面では年間を通じて、所々に雪があるが、雪はめったに降らない。夏は特に南部でとても暑くなる。
<政治・外交・軍事>
イスラエルは議会制民主主義を採用し、国家元首は大統領。大統領の任務は象徴的・儀礼的な性格が強い。国会(クネセト)の投票で決定され、任期は7年。再選は禁止となっている。議会は定数120名の一院制。
建国直後の1949年に国連へ加盟。2010年には経済協力開発機構(OECD)にも加盟を果たす。外交方針は自国の安全確保を並びに米国を中心とする欧米諸国との協力強化を重視。アラブ諸国のうち隣接するエジプト,ヨルダンと和平を結んだことにより,周辺国との戦争の可能性が低下した一方,イランの脅威が相対的に浮上し,警戒感を強めている。中東和平問題については,当事者間の直接交渉を重視。一部アラブ諸国との関係改善を達成したものの,2000年9月のパレスチナとの衝突(第2次インティファーダ)発生以来,和平プロセスは停滞。
軍事力は、陸・海・空・統合軍合わせて約12,000人。徴兵制は2008年に廃止された。
<経済>
イスラエルは農業、灌漑、そして様々なハイテク及び電子ベンチャー産業において最先端の技術力を持つ。経済力はニュージーランド、イタリアなどと同程度の高水準でいわゆる先進国であるが、貿易収支は慢性的な赤字となっている。また、イスラエルは中東のシリコンバレーとも呼ばれ、インテルやマイクロソフトなどの世界的に有名な企業の研究所が軒を連ねるとともにベンチャー企業が多いことでも知られる。
イスラエルの農業技術は先進的で、国土のほとんどが砂漠または半砂漠で降雨量も少ないといった厳しい環境ながら、食糧のほとんどを自給し、かつ農産物の輸出も行う農業大国である。少ない水資源を有効に活用するため、水のリサイクルに力を入れ、リサイクル率は70%を超えている。
ダイヤモンドの流通拠点として世界的に有名であり、ダイヤモンド産業を政府主導で基幹産業へと発展させてきた。研磨ダイヤモンドの輸出額はイスラエルの総輸出額のうち約四分の一を占めている。また兵器産業も経済に大きな影響を与えている。高度な技術の民間転用がハイテク産業を急成長させ、また兵器の輸出が直接的な収入源ともなっている。
【まとめ】
- 面積:2.2万㎢(日本の四国程度。イスラエルが併合した東エルサレムおよびゴラン高原を含むが、この併合は日本を含め国際的には承認されていない)
- 人口:約834万人(2015年5月 イスラエル中央統計局)
- 首都:エルサレム(日本を含め、国際的には認められていない。諸外国は大使館をテルアビブに設置)
- 民族:ユダヤ人(約75.0%),アラブ人その他(約25.0%)(2014年5月 イスラエル中央統計局)
- 言語:ヘブライ語,アラビア語
- 宗教:ユダヤ教(75.1%),イスラム教(17.3%),キリスト教(1.9%),ドルーズ(1.6%)(2012年 イスラエル中央統計局)
- 政体:共和制
- 元首:ルーベン(ルヴィ)・リヴリン大統領
- 首相:ビンヤミン・ネタニヤフ(外相兼務)
- 兵力: 正規軍 17.65万人(陸軍13.3万人,海軍9,500人,空軍3.4万人)/ 予備役 46.5万人(陸軍40万人,海軍1万人,空軍5.5万人)
- 主要産業:鉱工業(情報通信,ハイテク,医療・光学機器,ダイヤモンド加工,化学製品,繊維等),金融・サービス業
- 主要輸出品目:ダイヤモンド,医療精密機器,化学製品,電子部品等
- 主要輸入品目:機械類,輸送機器,燃料,化学品
- 主要貿易相手国(輸出):欧州(32%),北米(22%),アジア(21%)(ダイヤモンド除く,2013年 イスラエル中央統計局)
- 主要貿易相手国(輸入):欧州(34%),アジア(20%),北米(12%)(ダイヤモンド除く,2013年 イスラエル中央統計局)
参考資料:
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