バルト3国の一つであるリトアニア共和国。歴史的には北欧諸国、ドイツ、ポーランドと深いつながりがあるが、第二次世界大戦中に旧ソ連に編入、1990年に独立。その後ヨーロッパへの復帰を目指し、2004年にNATO、EUそれぞれへの加盟を果たす。旧ソ連の構成国でありながら、独立国家共同体（CIS）には加盟していない。2015年1月1日よりユーロが導入され、リタスからユーロに通貨が切り替わった。
民族は、リトアニア人が84.3% と圧倒的。その他は、ポーランド人（6.2%）、ロシア人（5.0 %）、ベラルーシ人（1.1%）、ウクライナ人（0.6%）などという構成になっている。
リトアニア語は公用語でもあり国語でもある。リトアニア語母国語話者は、84％、ロシア語8.0％、ポーランド語5.6％となっているが、母語以外の言語としては人口の85.4％がロシア語を話すことができるとされている（英語は24％）。
もともとバルト人は独自の多神教信仰を有していたが、徐々にキリスト教が普及し、16世紀頃にはカトリックが浸透したと言われている。現在はおよそ80％の人がローマ・カトリックを信仰している。
リトアニアはバルト3国の中で一番面積が大きい国で、北海道の約78％に相当。西部は海と面しており、海岸線はおよそ100km。うち38kmがバルト海に面している。国土の約30％が混交湿地林で覆われ、ヴィスティティス湖を初めとする多くの湖が点在している。地形はほぼ平坦で、一番高い地点でも海抜292mしかない。
四季はあるが、春と秋は短く、冬が比較的長い。夏至の前後は夜22：00頃まで明るい。逆に冬は16：00頃から暗くなる。海岸部（西部）は涼しい夏と余り冷え込まない冬があるのに対し、内陸部（東部）は寒暖の差が激しい。
＜政治・外交・軍事＞
1990年3月11日の独立回復宣言以来、共和制。リトアニアの国家元首は大統領。直接選挙によって選ばれ、5年任期（最大2期10年まで）。議会は一院制（議席数141、任期4年）。大統領は、セイマス（議会）の承認を得て首相を任命し、首相が指名した他の閣僚も任命する。2009年に行われた大統領選挙ではダリア・グリバウスカイテが過半数の票を獲得し、リトアニア史上初の女性大統領に就任した。
1991年に2つの条約締結により政治問題を解決したこと、およびエストニアやラトビアのようにロシア住民の問題が大きくないこと等から、ロシアとは比較的良好な関係を維持している。
軍事力は、陸・海・空・統合軍合わせて約12,000人。徴兵制は2008年に廃止となっている。
＜経済＞
2010年以降、経済成長率は上昇しており、2012年以降は大体3％前後を保っている（IMF 2015年4月）。
リトアニアは知識集約型経済へと少しずつ着実に移行してきており、三次産業のGDP構成比は68.0％。特にバイオテクノロジーやレーザー産業が特にさかんで、バルト3国におけるバイオテクノロジーの製造はリトアニアに集中している。またメカトロニクス（機械電子工学）や情報技術 (IT) 産業も今後のリトアニア経済が目指す方向として期待されている。
主要貿易品目は輸出が石油製品、電気機器・機械類、輸入は原油・天然ガス、車輌類など。対ロシア貿易は徐々に割合を縮小し、貿易相手国の多様化、ロシア依存型貿易からの脱却が進められている。エネルギーの約8割（原油及び天然ガスはほぼ100％）をロシアに依存しているが、2014年10月にLNGターミナルを完成させ、天然ガス供給源多様化に向け積極的に取り組んでいる。
【まとめ】
- 面積：6.5万㎢
- 人口：293.9万人（2014年3月：リトアニア統計局）
- 首都：ビリニュス（人口約54万人）（2013年：リトアニア統計局）
- 言語：リトアニア語（公用語）、ロシア語
- 宗教：ローマ・カトリック
- 政体：共和制
- 元首：ダリア・グリボウスカイテ大統領（2009年7月就任（2014年7月再任。任期5年））
- 首相：アルギルダス・ブトケビチュウス
- 国防予算等：319百万米ドル（2012年）（出典：ミリタリー・バランス2013）
- 主要産業：石油精製業、食品加工業、木材加工・家具製造業、物流・倉庫業、販売小売業
- 主要輸出品目：石油製品、電気機器・機械類、車輌類、化学製品
- 主要輸入品目：原油・天然ガス、車輌類、電気機器・機械類、化学製品
- 主要貿易相手国（輸出）：ロシア、ラトビア、エストニア、ドイツ
- 主要貿易相手国（輸入）：ロシア、ドイツ、ポーランド、ラトビア
参考資料：
地図出典：
写真出典：
- Vilnius Ethnic Festival Parade: Dancing, by Chad Kainz
- Vilnius castle tower at night by Mantas Volungevicius