民族・言語・宗教
先住民のタイノインディアンは、スペイン人居住者の搾取と、飢えと、ヨーロッパの疾病に対する抵抗力不足のため、全滅。多くのタイノがスペイン人による土地の占領に対して激しく抵抗し、奴隷として仕えるよりも自ら命を絶つことを選ぶ者もいた。
その後、西アフリカから奴隷として連れてこられたアフリカ系の諸部族民が住民となる。奴隷制度廃止後は、インド・中国・中東の国々からの移民がさとうきびプランテーションでの契約労働者としてやって来て現在のような多人種国家ができあがった。そのため国家のモットーは、「Out of Many, One People」(たくさんの人種から成る一つの国民)とされており、異なる人種と信条の人々が何世紀もの間共存し、ユニークなジャマイカの独自性と、共通の国運を造り上げてきたことを反映している。
公用語は英語。ほとんどのジャマイカ人がジャマイカの混合語パトア語を話せる。パトア語は、英語と西アフリカ の多言語が組み合わさったもの。
宗教はプロテスタントが 61.3%、ローマ・カトリックが4%、その他(ラスタファリ運動、イスラム教、ユダヤ教、無宗教者を含む)が34.7%である。ジャマイカのプロテスタントはヴードゥー教やサンテリアのように、ジャマイカで独自のアフリカ的発展を遂げたものもある。
地理・気候
ジャマイカはキューバから南へ約145km、ハイチから南西へ約161kmのところに位置する熱帯海洋性気候の島。山がちで中央部には山脈が連なり、多くの小さな川や流れが、中央の高原から南北に流れ、滝となり低地や海岸平野を通ってカリブ海へ注いでいる。国内最高峰はブルーマウンテン山(2256m)。
気候は、海抜高度と一日の時間により様々。海岸の熱と湿度は、絶えず北東貿易風により和らぎ、海岸平野の年間平均気温は27℃。高度900m以上の中央高地では、平均気温は約22℃。北東部の山脈は雨や霧が多く、中央高原周辺地帯の南部は雨が少ない。雨の多い時期は5月~6月、および10~11月。ジャマイカは大西洋のハリケーン・ベルトに位置しており、そのためにかなりの被害を受けることがある。
政治・外交・軍事
政治体制はジャマイカ国王を国家元首とする立憲君主制。英連邦王国のため、ジャマイカ国王の地位は名目的にイギリス国王と同一人物となっており、首相の推薦に基づき国王が任命する総督がその権限を代行する。
議院内閣制のジャマイカでは、行政府の長たる首相が政治の実権を握る。総選挙の結果、下院で第一党となった政党の党首が総督によって首相に任命される。閣僚は首相の助言に基づき総督が任命する。
議会は両院制で上院は全21議席。首相が13人を、下院の野党党首が8人を推薦し、総督が任命する。下院は、全63議席。議員は国民の選挙によって選出される。上下院とも任期は5年。
外交は、英連邦の一員として英国や米国をはじめとする西側諸国との関連促進。ラテンアメリカ・アジア地域との関係促進を図る。また非同盟諸国の一員として、途上国との関係強化に務めている(2005年、G77の議長国を務めた)。カリコム(カリブ共同体)では、「域外貿易交渉」担当の職責を担い外交面でのスポークスマン的役割を果たす。
ジャマイカ国防軍は約2,800人(総人口の0.1%)の兵力規模で、ジャマイカ連隊を基幹に小規模な沿岸警備隊と航空団を有している。近年は麻薬密輸や凶悪犯罪対策のために警察支援活動を実施している。
経済
ジャマイカ経済は、サービス業がGDPの60%以上を占めている。外貨は、観光業、海外移住者からの送金、鉱業(ボーキサイト、アルミナ)に大きく依存している。世界的な金融危機と景気後退により、ボーキサイト・アルミナ価格が暴落し、また、観光客(約70%が米国から)が減少し、大きな影響を受けたが、近年、景気は改善回復しつつある。
債務残高は、依然と高いレベルにあり、債務問題は引き続き重要課題の一つである。また、原油価格高騰などの外的ショックの影響を受けやすいと同時に、周期的にハリケーンや洪水に見舞われ、生産力と競争力に影響を与えている。
まとめ
- 面積:10,990km2(秋田県とほぼ同じ大きさ)(2015年 世銀)
- 人口:272.6万人(2015年 世銀)
- 首都:キングストン
- 民族:アフリカ系91%、混血6.2%、その他2.6%
- 言語:英語(公用語)、ジャマイカ・クレオール語(いわゆる「パトワ語」を含む)
- 宗教:キリスト教(プロテスタント、英国国教会等)
- 政体:立憲君主制
- 元首:エリザベス二世女王
- 主要産業:観光業、鉱業(ボーキサイト及びアルミナ)、農業(コーヒー、砂糖、バナナ)
- 主要輸出品目:アルミナ、ボーキサイト、砂糖、ラム酒、コーヒー、化学製品
- 主要輸入品目:燃料、機械類・輸送機材、食料その他の消費財、建設資材
- 主要貿易相手国(輸出):米国、EU、カナダ、ロシア
- 主要貿易相手国(輸入):米国、ベネズエラ、トリニダード・トバゴ、EU
- 参考資料:
- Wikipedia ジャマイカ
- 外務省HPジャマイカ
- 在日ジャマイカ大使館
- 地図出典:
- 旅行のとも、ZenTech ジャマイカと周辺国の地図
- 写真出典:
- Jamaica by Sarah_Ackerman
- View from the Marley Mausoleum by Chris Parker
おもしろいです
ありがとうございます!