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アイルランド基本情報

<略史>

  • 1801年 英国によるアイルランド併合
  • 1840年代後半 ジャガイモ飢饉 多くのアイルランド人がアメリカへ移住
  • 1919年〜1921年 アイルランド独立戦争
  • 1922年 英国の自治領となる。北アイルランドは英国領内に留まる
  • 1937年 アイルランド憲法制定
  • 1949年 英国連邦から離脱 共和制を宣言
  • 1955年 国連加盟
  • 1973年 EC加盟
  • 1998年 ベルファスト合意 北アイルランド6州の領有権を放棄
  • 1999年 ユーロ導入
  • 2007年 北アイルランド自治政府再開

<民族・言語・宗教>
現在アイルランドに住む人々は大別して3つの起源を有すると考えられている。第1には有史以前からアイルランド島に居住していた人々、第2には紀元前にヨーロッパ大陸から渡来した人々、そして第3にはヴァイキング、ノルマン人、イングランド人、低地スコットランド人など中世から近世にかけてアイルランドに移住、植民した人々である。
19世紀のジャガイモ飢饉による食糧事情などの悪化により世界各国に移住するようになった。移住先としてはアメリカ合衆国、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、アルゼンチン、南アフリカ共和国そして西インド諸島などである。これらの国々においてアイルランド系と見なされる人々の数は合計8000万人にもおよぶ。その成功例がジョン・F・ケネディ大統領らを輩出したケネディ家である。
アメリカにおけるアイルランド系住民の合計は4400万人と見られており、これはドイツ系につぐ規模の民族集団である。ラテンアメリカへの移民は18世紀から19世紀にかけて行われた。アルゼンチンには50万人ものアイルランド系の人がいると見られており、チェ・ゲバラやベルナルド・オイギンス(チリの建国の父)などもアイルランド系の血をひいている。

19世紀から20世紀にかけてアメリカへと移住したアイルランド人の間で、アイルランド語で書かれ発音されていた人名を英語化することが行われた。今日でもアイルランド語、英語両方の名を持つ人々が存在する。 ゲール由来の家名にはO’およびMc(少数はMacまたはMa)で始まる場合があるが、これはそれぞれ~の孫、子孫を示す接頭語である。接頭語Oで始まるアイルランド固有の名前としては : O’Neill、O’Brien、O’Connor、O’Leary、O’shaughnessy、O’Donnell、O’Toole、O’Meara、O’Malley、O’Hara、O’Bradaigh、O’Reillyなどがある。同様にMc、Macで始まる名については : McGroyn、McGuinty、McStiofain、McDonagh、McDonald、McQuillan、McGuinness、McGonigle、MacArthur、McQueen、McGuireなどである。

第1公用語はアイルランド語、第2公用語は英語となっているが、ゲールタハト地方などの一部を除くほとんどの地域では日常的には英語が使われている。アイルランド語は約400年に渡るイギリス支配により衰退したが、19世紀以降アイルランド語の復興が図られてきた。近年は政府による積極的なアイルランド語復興政策が進められている。2007年にはアイルランド語はEUの公用語に追加された。義務教育ではアイルランド語が必修であり、アイルランド語で教育をする学校もある。

国民の約84.2%がカトリック教徒である(2011年国勢調査)。アイルランドの守護聖人は聖パトリックと聖ブリジット。カトリック以外ではアイルランド国教会、長老派教会、メソジストと続く。近年イスラム教の増加もあり1996年にはダブリンのクロンスキーにモスクが出来た。

<地理・気候>
国土面積は70,282km2(北アイルランドを加えると84,421km2。アイルランド島の南側、約6分の5がアイルランド共和国、残りは北アイルランドで英国領)。温暖なメキシコ湾流と、大西洋から吹く偏西風の影響で気候は安定した西岸海洋性気候。夏は涼しく、冬は緯度の高い割に寒くない。また、地域による気候の差もほとんどない。


<政治・軍事>
1949年以降立憲共和制。アイルランド議会は上院・下院からなる二院制。議会から選出された首相が行政府の長。元首は大統領で国民の直接選挙により選出されるが大統領は基本的には名誉職であり、儀礼的な役割を主に務める。ただし大統領には首相による議会解散の拒否などの権限があり、国軍の最高司令官という任もある。
アイルランドの憲法は、1937年に制定されたアイルランド憲法である。この憲法は基本的に自由民主主義の考えにのっとり起草された。憲法の改正には国民投票が必要である。
アイルランドは陸海空三軍を擁し、平時の兵力は9,500名(2014年アイルランド政府。予備役含まず)。アイルランド国防軍は、アイルランドにおける陸軍・海軍・空軍の総称。アイルランド語による正式名称は「義勇軍」を意味する。安全保障については中立政策を採用しており、第二次世界大戦には参戦せず、北大西洋条約機構(NATO)にも加盟していない。関係改善に進みつつあるイギリスとの軍事面での交流は少なく、レンジャー部隊の教育などはアメリカ陸軍が支援している。また民族主義的観点から号令は英語ではなくアイルランド語(ゲール語)で行われている。


<経済>
アイルランドは独立後は長らく欧州の最貧国のひとつであったが、1990年代に入るとアイルランド経済初とも言われるほどの経済的な活を呈し、これはケルトの奇跡あるいはケルトの虎と呼称された。1995年から2000年の経済成長率は10%前後であり、世界において最も経済成長を遂げた国のひとつであった。
アイルランド経済発展の理由の一つとしてアメリカ企業の欧州進出が上げられる。外資の進出に対して政府が税制上その他での優遇措置をとり、安価でなおかつ高い教育レベルの労働力を持ち、英語がネイティブ言語であるという条件により多くのアメリカ企業の欧州工場、欧州拠点がアイルランドに設置された。
アイルランドの貿易相手国の大半はEU内諸国であるが、イギリスとの貿易量が最も大きい。アイルランドの主な輸出品には牛肉、コンピュータ(デル、ヒューレット・パッカード、アップルコンピュータが工場を保有している)、ソフトウェア(オラクル、マイクロソフトなど)などである。輸入品には自動車、機械、トラック、鋼鉄、石油および一般消耗品があげられる。
1999年に欧州連合諸国にユーロが導入されると、アイルランドは他の10カ国と共にその立ち上げから参加を果たした。イギリスが参加を見送ったことからユーロ導入国のなかで最も有力な「英語圏」の国となった。このため、金融機関などの拠点が多数、アイルランドに立地した。
近年アイルランド政府はインフレ率の抑制、低税率化、政府予算の減少に努め、これによってGDPの増加、労働力、労働スキルの改善、外国資本の誘致を達成した。

【まとめ】

  • 面積: 70,300km2(北海道とほぼ同じ)
  • 人口: 約461万人(2014年4月アイルランド中央統計局推定)
  • 首都:ダブリン
  • 言語: アイルランド語(ゲール語)及び英語
  • 宗教: 約84.2%がカトリック教徒(2011年アイルランド国勢調査)
  • 政体: 立憲共和制
  • 元首: マイケル・D・ヒギンズ大統領(2011年11月11日就任。任期7年、最高2期)
  • 国防予算等: 約6億7,700万ユーロ(2014年度予算)
  • 主要産業: 金融、製薬、食料・飲料
  • 主要輸出品目: 化学薬品、雑品、機械部品
  • 主要輸入品目: 機械部品、化学薬品、鉱物燃料 (注)サービス貿易を除く

参考資料:
Wikipedia アイルランド
外務省HPアイルランド
Wikipedia アイルランド人
Wikipedia アイルランド経済

写真出典:
Dublin, Ireland (Temple Bar),by LenDog64
Dublin, Ireland – Cityscape photography by Giuseppe Milo


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