民族・言語・宗教
エクアドルは非常に多様性に富んだ国である。国内で最も多い民族集団は白人とラテンアメリカ先住民の混血であるメスティーソであり、2番目に多いのはインディヘナ(先住民)となり、次に白人、ムラートやサンボを含んだアフリカ系エクアドル人が4番目の人口を占める。エクアドルの移民の出身地としてはスペイン、フランス、ドイツ、レバノン(レバノン系エクアドル人)などが挙げられる。
公用語はスペイン語のみであるが、先住民族のほとんどはケチュア語を話す。また、オリエンテのアマゾン低地に住んでいる先住民は様々な言語を使用している。
宗教は、カトリック教徒が国民の80%であるが、近年、先住民社会を中心にプロテスタントの数が増加しつつある。他にはユダヤ教やイスラーム教を信仰するものが少数存在する。
地理・気候
エクアドルは南米の北西部に位置し、その変化に富んだ地形により、地球上でも最も生物学的多様性に富んだ国の一つである。太平洋岸の亜熱帯低地「コスタ」、中央のアンデス山脈が縦断している「シエラ」、東部のアマゾン川上流熱帯雨林が広がる「オリエンテ」 、「ガラパゴス諸島」の4地域を有する。
赤道直下にあるためスペイン語で赤道を意味する「エクアドル(Ecuador)」が国名の由来となっている。基本的に熱帯気候だが、シエラは標高が高く、またコスタも寒流であるペルー海流(フンボルト海流)の影響により、過ごしやすい気候になっている。
政治・外交・軍事
大統領を元首とする共和制国家。行政権は大統領に属し、大統領の任期は4年。議会は一院制で任期4年、定数は137議席。2008年、コレア大統領政権時に行われた憲法改正で、大統領の再選が可能となった。司法権は最高裁判所に属する。
1942年のペルーとの戦争でアマゾン流域の広大な領土を併合されて以来、エクアドル・ペルー間には恒常的な緊張状態が続いていたが、1998年に和平合意が結ばれてからは、エクアドルがアマゾンの領有権主張を諦める形で両国の友好関係が再開した。
米国との関係は、2009年9月、マンタ空軍基地の米国賃貸期限が切れ、エクアドル政府が更新を認めなかったことからアメリカ軍が撤退。また、04年5月から交渉していた米国とのFTAを締結しない旨表明し、米国との関係は冷却化した。
その後2013年4月、エクアドルはEUとの間でFTA交渉を再開し、2014年12月に合意。これにより、エクアドルはEU・ペルーコロンビアFTAに加入することとなった。また15年、エクアドルは中南米カリブ諸国共同体(CELAC)の持ち回り議長国も務めている。
エクアドル軍はエクアドル陸軍、エクアドル海軍、エクアドル空軍の三軍からなり、徴兵制(1年間)が敷かれている。兵員は約58,000人。
経済
エクアドル経済の特徴として、2000年に自国通貨であるスクレを廃止し、米ドルを法定通貨として採用したこと、および原油が輸出の約5割を占め、バナナ、カカオ、コーヒー、水産加工品(主にエビ)、生花等の一次産品が残りのほとんどを占めることがあげられる。また、エクアドルはアンデス共同体の加盟国、メルコスールの準加盟国であり、南米連合の加盟国でもあり、南米連合の事務局がキトに置かれている。
エクアドルは農業国だが、生産が輸出商品作物の栽培に偏っていること、農地の所有制度に問題が残ることから、必ずしも国民の生活・福祉を支えるものとはなっていない。主食となる作物は、米、トウモロコシ、馬鈴薯、キャッサバが主力。商品作物では、世界第4位のバナナ、同7位のカカオ、コーヒー。畜産業は馬に集中している。
また、エクアドル沖は好漁場であり、コスタではエビ、マングローブガニが水揚げ、ガラパゴス沖ではマグロなどが漁獲されている。
石油は貴重な外貨獲得源であるため、エクアドル政府は火力発電を規制し、地形を生かした水力発電に投資している。2011年には、水力発電が発電量の 58%占めており、火力発電は34%であった。2016年には水力発電の比率を93.5%にすることを目標としていた。エクアドルの油田の問題点は、主要な油田がアンデス山脈の東側に位置しながら、輸出のためには山脈の西側の港湾まで輸送しなければならないことである。輸送にはパイプラインを用いているが、地震国でもあるため、いったん損傷が起こると輸出が停止してしまう。
エクアドルは多様な生態系で知られるガラパゴス諸島を筆頭に、キト、クエンカの歴史的な町並みや、アマゾンでのエコツアーといった内容で観光にも力を入れている。また、過ごしやすい気候、高度で安い医療費、物価の安さといった理由から、「リタイア後に移住したい国ランキング」世界1位となったこともあり、リタイヤメントビザでの北米からの移住者が約4000人にも上っている。
まとめ
- 面積:256,000km2(本州と九州を合わせた広さ)
- 人口:1,542万人(2013年、エクアドル国家統計調査局)
- 首都:キト
- 民族:欧州系・先住民混血72%、先住民7%、アフリカ系・アフリカ系との混血7%、欧州系6%(2010年、国勢調査)
- 言語:スペイン語
- 宗教:カトリック
- 政体:共和制
- 元首:レニン・モレノ大統領(2017年5月就任。任期は2021年5月まで)
- 主要産業:鉱工業(石油)、農業(バナナ、カカオ、コーヒー)、水産業(エビ)
- 主要輸出品目:石油、バナナ、コーヒー、カカオ、生花、まぐろ、えび
- 主要輸入品目:石油製品、自動車、車両部品、鉄鋼
- 主要貿易相手国(輸出):米国、チリ、ペルー、コロンビア、ロシア
- 主要貿易相手国(輸入):米国、中国、コロンビア、パナマ、ペルー
- 参考資料:
- Wikipedia エクアドル
- 外務省HPエクアドル
- 地球の歩き方 エクアドル基本情報
- 駐日エクアドル大使館HP エクアドルの概要
- 地図出典:
- 旅行のとも、ZenTech エクアドルの基本情報と地図
- 写真出典:
- at the market by Nicholas Jones
- Galapagos by pantxorama