＜民族・言語・宗教＞
民族は、オランダ語を話すフランデレン人が58%、フランス語を話すワロン人が31%、その他混血などが11%。首都ブリュッセルは中東系を中心とした移民が多い。
北部のフランデレン地域はオランダ語を公用語とするがフランス語・英語を習得している。南部に位置するワロン地域はフランス語を公用語とする。フランデレン地域とは異なり、ワロン地域ではオランダ語・英語の話者は非常に少なく英語はほとんど通じない。首都ブリュッセルは2言語併用地域。ワロン地域のドイツ国境地域ではドイツ語が公用語。
宗教はほとんどがローマ・カトリック（75％）を信仰。その他プロテスタント（25％）、イスラム教、ユダヤ教を信仰する者も若干存在する。
＜地理・気候＞
ベルギーは、フランデレン、ワロン、ブリュッセルの三地域に大別され、北側が北海に面している。国境はフランス、ルクセンブルク、ドイツ、オランダとそれぞれ接している。
全体気候としては西岸海洋性気候。晴天の続く夏期でも最高気温が20度を上回ることは多くない。面積の小さな国にも関わらず、内陸になるほど大陸性気候の特徴が現れ、夏の気温が上がり、冬期は寒くなる。さらに降水量の年変動が大きくなる。
ベルギー領内を流れるすべての河川は、エノー州を流れるオワーズ川を除き北海に注いでいる。いくつかの湖もあるがサイズはいずれも大きくはない。ベルギー国内には運河も多くあり、代表的なものとしてブリュッセル＝スヘルデ運河、ブリュッセル＝シャルルロワ運河、サントル運河、アルベール運河などが挙げられる。
＜政治・外交・軍事＞
ベルギーは立憲君主制を採用。国家元首である国王は、立法権を連邦議会と共に行使し、行政執行権を憲法に基づき行使する。議会は二院制。上院（元老院）の定数は60議席、下院（代議院）は150議席。いずれも任期は4年。
2010年4月の連邦議会選挙後，連立協議と併せて国家制度改革にかかる政党間の調整が難航したため，541日間、正式な政権が不在という事態となった。
外交は、欧州統合推進と北大西洋条約機構（NATO）を通じた安全保障の確保に重点。近年アジア新興国も重視。日本とは伝統的に友好関係を維持しており日本国皇室・ベルギー王室関係は極めて親密である。
軍は2002年より単一の統合軍に再編成。その下に陸上部隊・海上部隊・航空部隊・医療部隊の4部隊が編成されている。アメリカとニュークリア・シェアリングをしているため、独自の核戦力は保持していないが核抑止力を有する。
＜経済＞
製造業を中心に豊かな資本力を誇るものの、小国であるため貿易への依存傾向が強く、経済が安定しているとまでは言い切れない。非鉄金属工業、自動車、食品工業を中心とした、輸入原料を加工し、半製品、製品として輸出する加工工業が中核となっている。貿易依存度は輸出87.1%、輸入81.1%に達し、ヨーロッパ域内で最も貿易に依存した経済であるといえる。
世界シェアの高い工業製品は、世界第7位のプラスチック（670万トン、世界シェア3.3%）、同第8位のスズ（8900トン、2.9%）である。世界シェア1%を超える品目を一覧すると、石油化学、非鉄金属、自動車、繊維、食品といった様々な分野においてバランスの取れた発展を見せていることが分かる。
工業・サービス業が発達した北部のフランデレン地域と、石炭・鉄鋼業が衰退した南部のワロン地域ではワロンの方が失業率が2倍以上高い。ワロン地域はフランス語以外話せない住民が多数であるため、ワロン人がフランデレン地域で就労することが困難であり、失業率の格差が縮まらない一因となっている。またブリュッセルは移民が多く、低技能労働者が多いことから、失業率はやはり高い。
【まとめ】
- 面積：30,528㎢
- 人口：1,124.0万人（2015年3月）
- 首都：ブリュッセル
- 言語：オランダ語，フランス語，ドイツ語
- 宗教：キリスト教（カトリック）が大勢
- 政体：立憲君主制
- 元首：フィリップ国王（2013年7月21日即位）
- 首相：シャルル・ミシェル（仏語系自由党（MR）
- 国防予算等：37.2億ユーロ（2014年）
- 主要産業：化学工業，機械工業，金属工業，食品加工業
- 主要輸出品目：鉱物油関連製品，医薬品，自動車・関連部品等
- 主要輸入品目：鉱物油関連製品，自動車・関連部品，医薬品等
- 主要貿易相手国（輸出）：ドイツ，フランス，オランダ，英国，米国
- 主要貿易相手国（輸入）：オランダ，ドイツ，フランス，米国，英国
参考資料：
地図出典：
写真出典：
- Angel & National Flag of Belgium, Martyrs’ Square – Place des Martyrs – Martelaarsplaats, Brussels, Belgium by Dr Les (Leszek – Leslie) Sachs
- Luik Train Station #Belgium by Amina Tagemouati