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食から読み解く中央アジア
第3章 ペルシアから伝わった食文化①

中央アジアでの新年の祝いといえば、ナウルーズが挙げられます。ナウルーズの起源は古く、ササン朝ペルシアのゾロアスター教に遡ります。毎年3月の春分の日に行われる新しい年の訪れを祝う祭日です。

中央アジアの気候は内陸性なので、夏は乾燥して暑くなる一方で冬は寒さが大変厳しいものになります。この厳しい冬を乗り越え、温もりに身も心も喜びにひたるのがナウルーズなのです。このナウルーズにはこぞってご馳走を作り、親族や友人を招いたり訪問したりします。

現在の中央アジアではイスラームが広まっていますがナウルーズに見られるとおり元々はペルシア文化の世界でした。このペルシア文化に起源を持つ食べ物としては、ナウルーズの時だけに作られるスマラクというお菓子があります。

スマラクは小麦を長時間煮詰めてペースト状にしたもので甘みがあります。また、当地でめでたい数字である「7」の頭文字の「S」から始まるものを家の中に飾り付けます。この「スマラク」も「S」で始まる食べ物です。

スマラク

この他にペルシアを中心とする西アジアから伝えられた食べ物として、ナン(ノン)という平焼きパンが挙げられます。ナンはタンドールという土窯の内壁に貼り付けて焼かれたもので、この方式のパンは南アジアから西アジア一帯で見ることができます。

中央アジアのナンは、ずっしりと重くもっちりとした食感で、保存も効き、食事の際は必ず供される重要な食べ物です。大きさは直径30cmを超える大きなものもあり、たいてい、バザール(市場)などで平積みにして売られています。バザールにはナンを焼くタンドールがあるのです。

ペルシア文化の影響を受けた食べ物は他にもまだあります。それらについては次回触れたいと思います。

写真:
「スマラク」著者撮影

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