World Map Asia

カリダス 第8話
<アルバイトって楽しいのね>

初アルバイトだったこともあり、すごく楽しみにしていた。カリダスはネパールにいた頃は朝高校に通い、昼は仕事をしていた。ルーティンワークより新しさや変化のある仕事を好むタイプだった。

子供のころ家族全員でご飯を食べようとした時、自分にだけ小さいスプーンが渡されたのを怒って、お父さんと同じスプーンを使ってご飯を食べたり、お姉さんのスカートをはいたり、お父さんのお酒を飲もうとしたりなどとしていた好奇心旺盛な子だった。

その面では今も同じかもしれない。初日の仕事はキッチンから始まったが、一番最初にホールスタッフ、キッチンスタッフ全員に自己紹介をした。初めて中国韓国系以外の国から来たアルバイトで珍しかったこともあり、これはネパール語でなんて言うの?あれはネパール語でなんて言うのと聞かれていた。初日はあまり忙しくなかったため、先輩スタッフが調理しているところを見ながら、メモを取って時間を過ごした。

勉強熱心なカリダス君は小さなこともメモっていた。日本語を勉強しているカリダスにとってはレストランのキッチンもちょっとした図書館だった。使う言語(単語)も新しい、使う食器の名前も自分にとって新しい、周りにある全てが新鮮なものばかりだった。

やはり勉強したいと思えば、どこも教室かもしれない。
しばらく先輩スタッフに洗い物、野菜の切り方、調理方法を教えてもらっていた。

3時間ぐらい働いた後に店長に呼ばれ、「今日はあまりにも暇だからさ、カリダス君初日だし、早く帰ろか。。」と言われた。カリダスも「はい、わかりました」と言い、全員にネパール語でタタ(バイバイ)と言って調理場を後にした。

3時間のみだったが、新しい言葉を沢山学んだようだった。明日以降もアルバイトをしながら、沢山学んで行きたい考えていた。

学校や教科書で学ぶことより、実体験で学ぶことの方が頭に残るんだと思いながら、家に向かっていた。

今日もいつも通り、帰ったあと学校の宿題をしながら、テレビを見ていた。叔母には「なにテレビ見ながら、勉強しているの?頭に入らないだろう」と怒られた。

カリダスは、「テレビ番組も日本語の授業になると先生に言われたよ、だから見ながらやっているんだよ」と返した。

叔母は「ならいいや」と言い、晩御飯の準備に始めた。

(続く)


コメントはこちらから

メールアドレスが公開されることはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)