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カリダス 第1話
<来日一日目にして日本の良さを知る>

2004年9月4日、朝9時ぐらいだろうか。ネパールから来た19才の少年の姿が東京の成田空港にあった。迎えにくる人待っていたのだ。初めての海外だったからなのか、落ち着かない様子で、きょろきょろと辺りを見回していた。

9時半ぐらいには叔父さんを発見して、ほっとした様子を見せた。その彼の名はカリダス。それから叔父さんと一緒に東京都内へ向かう。バスからこれまでとは違う景色を見ながら叔父さんにこう言うのだ、「Ramro Cha / 綺麗ですね」と。

日本に来て数時間の内に日本の一つの良さである「綺麗さ」を口にした。彼がネパールから日本へ来た目的は「語学留学」であった。ネパールに居た時は旅行会社に勤めており、日本人と接する機会も多くあり、将来は日本へ留学したいという夢を描いていたようだ。今日は彼のその夢が叶った日でもあった。

バスの中では叔父さんから沢山の質問があった。叔父さんも長くネパールに帰っておらず、いつの間にか時間が経ってしまっていたようで、ネパールにいる親戚の近況を聞いてきた。

色々話をしている間に叔父さんの自宅近くのバス停に到着した。そこから叔父さんと二人で自宅へ向かう。5分ほど歩いたあと、叔父さんへ「日本はマナーの良い国ですね」。なぜそう思ったかと叔父さんに聞かれ、「バスから降りる時もしっかり並んでいる、ネパールとは全く違う」と答えた。その答えを聞き叔父が「なるほどね、その国にはその国ならではの良さがあるな」と言う。

話しているうちにいつの間にか、自宅に到着した。自宅では叔母さんが待っていた。

本当はその日は仕事だったが、カリダスが来ると聞き、休暇をとっていたようだ。久々に叔母さんと会うことができ、カリダスは喜んだ。次から次へとネパールにいる親戚のことや、ネパール、故郷ポカラの話が出て会話が弾んだ。

その後、叔父さんに「日本では時間がすべてだ、時間管理はなによりも大事である。これから区役所へ行こう」と言われ、港区芝公園にある区役所に連れて行かれた。区役所で外国人登録申請、国民健康保険などの登録を行い、カリダスがこれから通う日本語学校へ行った。そこで学生証を発行してもらい、明日から使う定期券を購入する。最後に銀行へ行き、銀行口座を発行してもらった。

一日でこれだけの手続き(日本で生活する上での最も重要な手続きなど)を完了させたことにカリダスはびっくりした。

ネパールの場合はこれだけの手続きを行うことになると、少なくても一週間ぐらいはかかってしまう。来日した一日目に、日本は時間を他のなによりも大切にする国、且つ汚職がほとんどない国、という日本の良さを知るのである。

(続く)

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写真:
  • 「ネパールそして日本」著者撮影

  • ラゼン より:

    言葉の使い方分かりやすくて喜んで読みました。日本の良い点、時間を大切にするということネパールで時間あまり守らないこと比べて書いていることは良く分かりますが可能であればネパールの良い点も少しずつ入れていけばもっと良いと思いました。

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