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Relationship ― 日本の『時間軸』を辿る ~東南アジア・ミャンマーと北朝鮮の関係性①

はじめに

昨今掻き乱れている世界情勢地域のひとつに、東アジア地域の朝鮮半島(韓国では韓半島という)がある。

日本の敗戦後、朝鮮地域は北緯38度線以南をアメリカに、以北をソビエト連邦に占領され、両国軍の統治を受けることになった。当初、米ソ両国は朝鮮を信託統治する予定だったが、その実現方法を巡って決裂し、各々の支配地域で政府を樹立する準備が開始された。

その結果、アメリカによって1945年8月15日に李承晩を首班とする大韓民国が朝鮮半島南部単独で樹立され、朝鮮の分断が決定的となる。これに対抗して朝鮮半島北部でも独立準備が加速し、同年9月9日に金日成首相(当時)の下で朝鮮民主主義人民共和国(以後北朝鮮と称する)が建国された。


写真:北朝鮮国旗

その後、互いの政府が半島における正当な政府であることを主張して対立が激化、1950年北朝鮮軍の南進により所謂「朝鮮戦争」が勃発した。韓国・北朝鮮両軍のみならず、韓国側には「国連軍」と称するアメリカ軍、北朝鮮側には「義勇軍」と称する中国・ソ連軍が加勢して苛烈化したが、1953年の休戦によって一時決着が棚上げされた形となり、今日に至っている。

北朝鮮の国家体制やこれまでの日本との関係については皆さんのご承知のとおりであるから割愛させていただくとして、今月と来月の2回は、タイトルにも掲げた東南アジアそしてミャンマーと北朝鮮の関係を中心に話を進めてみたいと思う。

東南アジアと北朝鮮

日本とは異なり、東南アジアの国々では北朝鮮との国交が存在し、各国に大使館が設置され、外交、経済、軍事などにおいて北朝鮮との密接なつながりが長きに亘って続いている。

因みに現在北朝鮮との国交があるのは164ヵ国(注)。なかでも北朝鮮のみを国家として承認しているのは、キューバ、シリア、マケドニアの3カ国、そしてアルゼンチン、イラク、チリ、ボツワナはかつて国交があったが現在は断交しており、日本や韓国、アメリカなどが国家承認をしていないため国交がない。

現在アメリカが中心となりミサイル開発・実験や核兵器開発行為に対する北朝鮮包囲網を形成し、経済制裁や軍事的圧力を強めようと躍起になっているが、決定的なダメージを北朝鮮に与えることは未だできていない。これについては、中国やロシアによる水面下での支援が存在するということが有力な要因ではあるが、もうひとつ、国交のある近隣諸国との貿易等により外貨および物資が継続的に獲得できているということも理由となっていて、その近隣諸国というのが東南アジア地域なのである。

北朝鮮の核兵器或いはICBMなどのミサイルを脅威と感じるのは、主として隣国の韓国、日本、そして日本と同盟関係にあり、東アジア地域に軍事的拠点を持ち北朝鮮の敵対の象徴とも言えるアメリカであって、東南アジア地域はこの問題においては「場外」である。

時期的に金正男暗殺事件でマレーシアとの関係が険悪となったものの、東南アジア諸国は北朝鮮の「貿易相手国」としての関係性を変わらずに維持してきた。それゆえにこの包囲網への協力を仰ぎ、対北朝鮮制裁の抜け穴を埋めるべく、アメリカのティラーソン国務長官が過日ASEAN各国外相を招聘し会議を行うに至ったのである。

各国が現状をどれだけ深刻にとらえているのか、どのような協力を実行できるのか、今後の動向は注視しなければならないだろう。

(続く)

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