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Our World through Music
~甘い音と巡る世界の響き~Vol.7

音楽家の聖書を残した人、ヨハン・セバスティアン・バッハ

今回は、これぞ知らない人はいないであろう歴史的大作曲家、ヨハン・セバスティアン・バッハについてお伝えしましょう。この人はとてつもない数の作品を残しました。彼の人生と作品の多くは教会のために捧げられたものであるため、代表的な作品はオルガン音楽や、宗教的声楽曲となっています。そのためヴァイオリニストが説明できることは少ないのですが、その一端だけでもお伝えできれば幸いです。

ヨハン・セバスティアン・バッハ。彼の一族は職業音楽家の家系で、彼の他にもたくさんの音楽家を輩出しています。一般的にはあまり知られていないものの、一部には現代の演奏家にとっても大切な作品を残している人もいます。その中でもヨハン・セバスティアン・バッハは特に重要な人物で、他のバッハと区別するため「大バッハ」と呼ばれることもあります。ただし今回は彼のことを単に「バッハ」と表記して話を進めることといたします。

バッハは、ドイツの音楽家でした。音楽の歴史で「バロック音楽」と言われる時代は17世紀から18世紀半ばで、1685年生まれ1750年没である彼は正にその真っ只中に生きていました。

さて、ここでバッハとバロック音楽の作曲家として有名な他の作曲家の代表的な作品をお聴き頂きましょう。


イタリアのヴィヴァルディ作曲「四季」。冒頭はその中から「春」です。

イギリスとドイツで活躍したヘンデル作曲「メサイア」から「ハレルヤ」

バッハのオルガン曲「トッカータとフーガ」

(もちろん、どの作曲家もこの他にも名作をたくさん書いています。)

ところで、実はバッハという人は彼が生きていたときにはあまり有名ではありませんでした。どちらかというとヘンデルのほうがずっと売れっ子で、バッハは没後もしばらく音楽家にも軽んじられていたくらいです。

バッハの生き方は、今でいうととてもビジネスライク。家族を養うためにいい条件の教会や宮廷を転々とします。そこで求められる音楽に応えられる技量もあったのでしょう。彼の作品の内容は、その時属していた勤め先によって変わっていきます。「転職」を繰り返すことができる実力と才智に長けていたようです。

勤め先によって作品が変わるとはどういうことかと言うと、
例えばケーテンという侯国の宮廷楽長となったときは、領主の信仰するキリスト教一派が教会音楽を重んじていなかったことと、当時その宮廷には楽器の演奏技術が高い演奏家がいたことで、教会音楽から離れた作品を数多く書きました。
それらが、器楽曲の名作とされる「ブランデンブルク協奏曲」「無伴奏チェロ組曲」「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータとソナタ」等々。。。どれをとっても大変な傑作です。

その中で私が演奏するものといえば、弦楽合奏向けの「ブランデンブルク協奏曲」、そして「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータとソナタ」が主です。特に、後者の方を演奏する機会が多くあります。

ではその「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータとソナタ」から、音楽史上で不朽の名作と言われる「シャコンヌ」をお聴きください。

以前にもご紹介したこの曲、何度演奏しても敬虔な気持ちがやみません。

そして、バッハのすごいところは、この作品は彼の一端に過ぎないこと。
上述の「ブランデンブルク協奏曲」やピアノ協奏曲ではとても有名で美しいメロディを書いており、オルガン曲やカンタータという教会声楽曲のカテゴリーでは、常人ではできないような質と量を残しています。

さらに、その呼び名も広く知られている「マタイ受難曲」。この作品も彼の没後は他の作品と例外なく忘れさられていました。この作品とバッハの名声をこの世に生き返らせたのは、これまた音楽史上の天才、フィリックス・メンデルスゾーンです。これについてはまたの機会にその語りのときを譲ります。

では、おしまいに、冒頭に記しました「音楽家への聖書」とされる作品をお聴き頂きましょう。バッハの平均律クラヴィア曲集はピアニストへの旧約聖書と呼ばれています(ちなみに新約聖書はベートーヴェンの32曲あるピアノソナタ)。言葉も時も超えて素晴らしいその旋律。お楽しみ頂ければ幸いです。

バッハ作曲「平均律クラヴィア曲集 第1巻 第1番」

動画:

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