ルクセンブルクはベルギー、フランス、ドイツに囲まれたヨーロッパの中心に位置している。
ここを基点にEU諸国へすぐにアクセスできロジスティクス的にも非常に利点が大きいため、小国ながらもヨーロッパのHubもしくはGateway的な重要な役割を担っている。
正式名称は、日本語：ルクセンブルク大公国、英語：Grand Duchy of Luxembourg
＜民族・言語・宗教＞
民族構成としてはケルト人、ゲルマン人などの混血が主である。住民の約40％が外国人で、主な外国人はポルトガル人、イタリア人、フランス人、ドイツ人。また、労働人口の4割が周辺国からの通勤労働者となっている。
公用語は、フランス語、ドイツ語、ルクセンブルク語で、子供たちは卒業までにフランス語、ドイツ語、英語を流暢に話すようになり、そのマルチリンガル能力は国力を支える大きな要素の一つとなっている。
ローマ・カトリックが87%、プロテスタント、ユダヤ教、イスラム教などが13%。
＜地理・気候＞
国土は2,586m2で、神奈川県もしくは佐賀県と同じくらい。人口は約56万人（2015年、ルクセンブルク統計局）。国土の大部分には丘と低い山地が広がり高山はなく、一番標高が高い地点で560m（クナイフの丘）である。
気候は西岸海岸性気候で、年間通じて寒暖差はあまりない。月別の平均最低気温0.2度（1月）〜平均最高気温17.2度（７月）といった幅で、年間の平均気温（1961年〜2000年）は8.6度。
＜政治・軍事＞
立憲君主制。2015年現在、世界唯一の大公国でルクセンブルク大公が内閣とともに行政権を執行する。
議会は代議院による一院制。全60議席、任期5年。議会に対して助言をする国務院（コンセイユ・デタ）がある。メンバーは全21名で、首相の推薦に基づき、大公が任命する。
空軍・海軍はなく、陸軍のみを有し、総兵力は約900名。陸軍の最高司令官はルクセンブルク大公で、1967年からは完全志願制となった。北大西洋条約機構に加盟し、欧州合同軍にも兵力を提供している。
＜経済＞
ルクセンブルクの国内経済は世界でもトップレベルの豊かさを誇る。
かつてのルクセンブルクは大国に翻弄される貧しい農業国に過ぎなかったが、1960年代よりアルセロールに代表される鉄鋼業が経済を牽引して経済大国の基礎を築き、鉄鋼業において世界首位の売り上げを誇るまでに成長した。しかしオイルショックを契機に低成長時代へ突入し、やがて政府は衰退する鉄鋼業から、マルチリンガルの労働力、最先端のインフラ整備、海外市場へのアクセスのよさを生かした経済政策へ方針を転換、積極的に国をあげてテコ入れし、停滞期から抜け出すことに成功。現在では金融サービス業をはじめとする第三次産業がGDPの約80%を占めるようになった。
近年では、ICT（情報通信技術）、電子商取引、メディア、自動車部品、マテリアル開発、プラスチック工学、ロジスティック、環境技術といった、新しくまた革新的な事業活動を支援している。この政策が効果を挙げ、現在、多くの大手国際企業がルクセンブルクにヨーロッパ本社を置き、欧州地域の本拠地としている。
第一次産業としては、古代ローマ時代から作られている白ワインと、隣国ベルギーと同様チョコレート菓子が有名。 農業労働人口は全体の1％前後とされる。農家の大部分は家族経営の小規模な自作農であり、耕作と畜産の混合農業が一般的。有機農法を用いた農地に政府助成金が支給されるため、政府認証を受けた農地のほぼ100%が有機農法を行っている。農業関係者の遺伝子組み換え食品に対する拒否感は強く、生産者の側でも食の安全に対する意識は高い。
また、ルクセンブルクは低い失業率と低い経済格差でも知られ、一人当たりのGDPは世界第一位（111,716ドル、2014年）。政府と労働組合の密な関係により20世紀には一度もストライキが起きなかった。ヨーロッパでは珍しいその労使関係の安定性もグローバル企業誘致に役立っている。
【まとめ】
- 面積:2,586平方キロメートル
- 人口:562,958人（2015年、ルクセンブルク統計局）
- 首都:ルクセンブルク
- 言語:ルクセンブルク語（母国語）、フランス語、ドイツ語
- 宗教:国民の大多数はカトリック
- 政体:立憲君主制
- 元首:アンリ大公（2000年10月即位）
- 首相：ザヴィエ・ベテル（民主党）
- 国防予算等:予算 2億ユーロ
- 主要産業:金融業、鉄鋼業
- 主要輸出品目:鉄製品、タイヤ、自動車
- 主要輸入品目:石油類、自動車、航空機類
- 主要貿易相手国：
輸出 ドイツ、フランス、ベルギー、オランダ、英国
輸入 ベルギー、ドイツ、フランス、米国、オランダ
参考資料：
Wikipedia ルクセンブルク
Wikipedia ルクセンブルクの軍事
外務省HPルクセンブルク
ルクセンブルク経済省 貿易投資事務所のHP
写真出典：
Luxembourg Grund, by Tristan Schmurr