コソボは2008年2月に共和国として独立を宣言。アメリカ合衆国、イギリス、ドイツ、フランス、日本など111ヶ国から承認を受けている(2015年8月時点)が、国連加盟国の半数近くに上る世界85ヶ国からはいまだ承認を得られていない。
<民族・言語・宗教>
民族構成は、アルバニア人(92%)、セルビア人(5%)、トルコ人等諸民族(3%)。元々コソボのアルバニア人の比率は高かったが、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争で難民となったセルビア人がコソボに入植。
これによって一時的にコソボ内のセルビア人割合が増加。しかしコソボ紛争により、コソボ内のセルビア人は約20万人がコソボ外に国内避難民として退去。紛争終了後も治安問題、就職困難などの理由で難民帰還はほとんど進んでいない。
コソボの公用語はアルバニア語とセルビア語。法律は英語にも翻訳されている。
アルバニア人住民の大半がイスラム教を、セルビア人住民はセルビア正教を信仰。ローマ・カトリック信者も存在する。
<地理・気候>
南東ヨーロッパの中心およびバルカン半島の中心に位置し、南西にアルバニア、北西にモンテネグロ、南にマケドニア、そして東にセルビアと接している。
四方を高い山々に囲まれ、内側に豊かな盆地平野がある。山々は高く険しい尖った形が特徴的。最も高い山は標高2656mのジェラヴィツァ山。北部のコソボ平野と南部のデュカジニ平野という二つの異なる平野、そしておだやか起伏を持つ丘は肥沃な農地となり、大麦・小麦・トウモロコシ・ブドウ・タバコが生産されている。
南部は暑く乾燥した夏と穏やかで雨の多い冬を特徴とする地中海気候。 北部は地中海やアルプス等北西からの影響を受ける大陸性気候。暑い夏と寒い冬が特色(夏期30℃以上・冬期-10℃)。
<政治・外交・軍事>
コソボ議会は2008年2月17日にセルビアからの独立を宣言。同年8月にコソボ憲法公布。
さらに12月にはUNMIK(国際連合コソボ暫定行政ミッション)からEULEX(欧州連合・法の支配ミッション)へほとんどの責務が移譲された。EULEXは法分野、特に警察、司法、関税に関してコソボ当局を補助し支援する役割を担っている。
内政の課題は、法の支配の確立と、コソボ独立に反対するセルビア系住民との融和。法の支配については、EULEXの支援を受けて汚職・組織犯罪等の対策に取り組んでいる。
コソボ北部のセルビア系住民は、2013年4月及び5月のコソボ・セルビア間合意を受け、同年11月に実施されたコソボの統一地方選挙に紛争後初めて参加した。なお難民の帰還問題および少数民族の保護は未解決の課題として残っている。
コソボ独立の承認国を増やし、国連等国際機関への加盟を達成することが当面の外交目標。また、将来のEU加盟等、欧州・大西洋統合も目標として掲げている。
1999年以来、NATO主体のコソボ国際安全保障部隊(KFOR、約4,500名)が駐留している。 また2009年1月には軽武装のコソボ治安部隊(KSF、約2,100名)が創設され、災害対策及び警察以外の治安を担当している。
<経済>
コソボは近年では毎年2~3%前後の経済成長を実現している一方、海外移民からの送金や開発援助に依存する経済構造となっている。恒常的な貿易赤字と税収の不備、電力不足、若年層の失業率が35.3%(2014年)を超えるなど課題が山積しており、
依然として欧州地域の最貧国のひとつである。
主要産業の農業は小規模な家族経営が大半。褐炭,亜鉛等の鉱物資源を有しているが、近年、設備投資がほとんど行われていない。
貧困削減のため、今後は国家としての安定的な経済発展が不可欠であると同時に、 環境分野などにおけるEU基準への適合も重大な課題となっている。
ちなみに日本の対コソボ貿易額・品目(2014年、財務省貿易統計)は、輸出が4.02億円(自動車、金属製品)に対し、輸入は0円という状況である。
【まとめ】
- 面積:10,908㎢(岐阜県に相当)
- 人口:180.5万人(2013年,コソボ統計局)
- 首都:プリシュティナ
- 民族:アルバニア人(92%),セルビア人(5%),トルコ人等諸民族(3%)
- 言語:アルバニア語(アルバニア人),セルビア語(セルビア人)等
- 宗教:イスラム教(主にアルバニア人),セルビア正教(セルビア人)等
- 政体:共和制
- 元首:アティフェテ・ヤヒヤーガ大統領(2011年4月就任。任期5年)
- 主要産業:サービス業(56.6%),工業(28.9%),農業(14.5%)(2014年,世銀統計)
- 主要輸出品目:卑金属,鉱物性生産品,食料品
- 主要輸入品目:鉱物性生産品,調整食料品・飲料・たばこ,機械類・電気機器
- 主要貿易相手国(輸出):イタリア,アルバニア,マケドニア,インド
- 主要貿易相手国(輸入):セルビア,ドイツ,イタリア,トルコ
参考資料: