西インド諸島の大アンティル諸島のイスパニョーラ島東部に位置する共和制国家。小アンティル諸島のドミニカ島にあるドミニカ国と区別するため「共和国」をつけて呼ばれる。
民族・言語・宗教
住民は、ヨーロッパ系が16%、アフリカ系が11%、ムラート(白人と黒人の混血)が73%という構成。長い時をかけてさまざまな人種が混ざり合い多様な人種で構成される国で、原住民の文化、スペイン文化、アフリカ文化などが交じり合い、独自の文化を形成している。
公用語はスペイン語。国民の間ではカリブ・スペイン語の方言であるスペイン語ドミニカ共和国方言が話されているが、移民によってハイチ・クレオール語やフランス語、ドイツ語、英語、イタリア語なども話されている。国民の識字率は90%以上。
宗教は、人口のほとんどがカトリックを占める。
地理・気候
カリブ海で2番目に大きなイスパニョーラ島の東約3分の2を占めている。西はハイチ共和国と国境を接している。地形は変化に富んでいて、国土の約50%が高地と山脈。中央山脈にはカリブ海最高峰、標高3,175mのドゥアルテ山がそびえたつ。また、同国最大の湖エンリキージョ湖はカリブ海での最大の湖。400kmにも及ぶ海岸線も有する。
気候は熱帯のサバナ気候に属すが、標高と海岸からの距離によって高山性か海洋性かに分かれる。国内の日中の最高気温は、年間を通じてほとんどの都市で30度を超える。島国であること、起伏に富んだ地形や島の東側から吹く貿易風の影響で、北東部を中心に比較的高湿多雨な気候の地域がある一方で、南西部、北西部には雨量の少ない乾燥地帯があり、それに伴って植生の変化も大きい。北半球にあるため、雨季は夏季(5月から11月)であり、6月から11月はハリケーンが飛来する。
政治・外交・軍事
大統領及び副大統領の任期は4年であり、直接選挙によって選出される。選出の際は、立候補した大統領候補と副大統領候補の組に対して投票を行う。議会は二院制。上院の定員は32名、下院は190名である。大統領選挙は4で割り切れる年に行われ、議会の選挙はそれ以外の年に行われている。
対米重視、EUと協調関係維持路線の外交政策を実行。2007年3月に米国と自由貿易協定(DR-CAFTA)が発効。2008年10月にEUとの経済連携協定を批准。2004年以後、各国と共にハイチ安定化に向け協力姿勢。2010年1月のハイチ地震災害に関し、支援国会合を開催したほか、ハイチへの支援物資の通関や国境通過の便宜等ロジスティック面でも支援。また、ドミニカ共和国は中華民国(台湾)を承認している。
ドミニカ共和国軍の最高指揮権は大統領にある。総兵力は56,050人で、陸軍28,750人、海軍11,200人、空軍16,100人という内訳で構成されている(2016年:ミリタリーバランス)。兵役は志願制。
経済
従来、砂糖、コーヒー、カカオ、タバコ等伝統的一次産品の輸出国であったが、1990年以降、自由貿易地域(フリーゾーン)からの繊維等軽工業品の輸出が増加。また、観光業は外国投資の誘致及びインフラ整備の進展により発展。2015年の外国人観光者は約483万人。観光収入は約62億ドル。主要外貨獲得源は、上記に加え、海外に居住するドミニカ共和国人(約140万人)からの海外送金(約49億ドル)。
ドミニカ共和国は比較的に鉱物資源に恵まれており、主要鉱物は金、銀、銅、ニッケルである。特にニッケルの産出量は多く同国の重要な財源となっている。また近年新たな金鉱山の開発が期待されている。
メディーナ政権(2012年~2016年)での実質経済成長率は2013年に4.6%、2014年に7.3%、2015年には7.0%を達成。この成長は、主に建設業や観光業などに牽引されている。建設業では、民間投資として低価格住宅、ホテル、別荘建設、また、公共投資として学校・教室建設、道路整備、地下鉄2号線延長工事がこの成長を押し上げた。メディーナ政権の1年目(2012年8月~2013年8月)に政府は観光業促進のため、東部観光道路、数々の幹線道路などの重要な建設工事を完成させた。
まとめ
- 面積:48,442km2(九州に高知県を合わせた広さ)
- 人口:約1,041万人(2014年:世銀)
- 首都:サントドミンゴ
- 民族:混血73%、ヨーロッパ系16%、アフリカ系11%
- 言語:スペイン語
- 宗教:カトリック
- 政体:立憲共和制
- 元首: ダニーロ・メディーナ・サンチェス大統領(2012年8月~2020年8月、任期4年、二期目)
- 主要産業:観光業、農業、鉱業、繊維加工、医療製品製造、サービス業(コールセンター等)
- 主要輸出品目:鉱物(フェロニッケル、金、銀)、医療機器(輸血用器具など)、葉巻、電気機器(電流遮断機)、カカオ、綿Tシャツ、綿布
- 主要輸入品目:石油・石油関連品、天然ガス、医薬品、携帯電話、そら豆、バッテリー、ポリエチレン
- 主要貿易相手国(輸出): 米国、ハイチ、カナダ、プエルトリコ、ドイツ、中国、オランダ、インド、英国
- 主要貿易相手国(輸入): 米国、中国、ベネズエラ、メキシコ、ブラジル、バハマ、スペイン、パナマ、コロンビア
- 主要援助国: (1)米国(50.86)(2)フランス(27.92)(3)スペイン(19.71)(4)日本(10.10)(5)韓国(3.94)(2013年、支出総額ベース、単位:百万ドル)
- 参考資料:
- Wikipedia ドミニカ共和国
- 外務省HP ドミニカ共和国
- TOKYOキャラクターフォーラムHP 地球!なかよし計画 第2回ドミニカ共和国
- ドミニカ共和国基本データ
- 地図出典:
- 外務省 ODAメールマガジン第101号
- 写真出典:
- Jaibon school by justinknabb
- Dominican-Republic – Bayahibe by Reinhard Link