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食から読み解く中央アジア
第6章 中国から伝わった食文化

中央アジアではシルクロードを通じて中国と活発な交流があった結果、様々な食文化が中国から伝わりました。

まず、中国から伝わった料理で挙げられるのはラグマン(うどん)でしょう。これは、中国語の拉麺(ラアミエン)が語源だと言われています。漢字の「拉」の字は引っ張るという意味があるとおり、小麦粉をこねたものを細長く延ばして作られます。麺はちょうど日本の讃岐うどんのような食感です。

この麺を平皿に盛り付け、羊肉や牛肉の細切れに野菜を油で炒めたものを乗せます。味付けはトマトがベースに使われ、塩、ニンニク、唐辛子にクミンなどのスパイスの他にコリアンダーやディルなどのハーブで香り付けされています。

また、丼や深皿にトマトベースのスープを注ぎ、スープ麺として食べられることもあります。ただし、食器に箸が使われることはほとんどありません。

麺の代わりにご飯に変えた、ガンファン(肉野菜炒めのせ丼)という料理も存在します。これは、中華丼の中央アジア版とも言っても良い料理で、私たち日本人にも馴染みやすい料理であると言えます。

このほか、中国からもたらされた料理にマンティ(ギョウザ)が挙げられます。マンティの語源は、やはり中国語の饅頭(マントウ)だと言われています。中央アジアでは蒸すのが一般的ですが、スープに入れるものもあります。

練った小麦粉で皮をつくり、中に玉ねぎと羊肉又は牛肉の挽肉を入れます。イスラームの国々なので豚肉は使いません。また、野菜だけのマンティもあります。日本のギョウザより大きく、直径7~8センチほどもあります。

なお、この「饅頭=マントウ」という言葉の餡入りギョウザはアジア各地にあり、トルコでもマントゥと呼ばれる餃子があります。幅広い地域で受け入れられたとても興味深い料理であると言えます。

また、中国起源のもので忘れてはならないのが、チャイ(お茶)です。中央アジアでは、カラ・チャイ(紅茶)コク・チャイ(緑茶)が広がりました。このうち、人気があるのはコク・チャイの方です。チャイは、一般家庭のほか、チャイハネ(喫茶店)でよく飲まれています。

強い日差しを避ける木陰のチャイハネで人々が集まりよもやま話に花を咲かせるのも中央アジアならではの光景です。

写真:
「ラグマン」著者撮影

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