民族・言語・宗教
民族はマレー系66%、中華系10%、その他イバン族などの先住諸民族系等24%。
憲法上定められた公用語はマレー語だが、英語は広く通用し、華人の間では中国語も用いられる。また公立・私立とも、学校教育機関ではマレー語と英語が使われているが、宗教省管轄下の学校では、主にアラビア語が使用されている。
国教はイスラム教(スンニ派)で、国民の約8割がムスリムである。イスラム教のほか、仏教、キリスト教なども信仰されている。イスラム法(シャリーア)は自国民のみならず、外国人旅行者等にも適用される。ブルネイ国内では酒の販売及び公の場における飲酒が禁じられており(異教徒も含む)、戒律が厳格に守られている。
地理・気候
ブルネイはボルネオ島(インドネシア名;カリマンタン島)北部に位置し、国土の北部が南シナ海に面しているほかは陸地である。国土は日本の三重県とほぼ同じである。
国土の西部は主として起伏に富んだ低地から成り、東部は岩の多い山岳地帯が支配的で、東部のマレーシアとの国境には国内最高峰のパゴン山(標高1,850m)がある。
ブルネイは熱帯雨林気候に属し、年間の日中平均気温は31~33℃と高温多湿である。季節は雨季と乾季に分かれるが、年間通して雨が多い。
政治・外交・軍事
国王(スルタン)を元首とする立憲君主制で、首相、財務大臣、国防大臣、外務貿易大臣を国王が兼任。皇太子も、首相府上級大臣として筆頭閣僚の要職を勤める。国是は「マレー主義・イスラム国教・王政擁護」であり、国王は宗教上の権威であるとともに、国政全体を掌握している。
ブルネイの一院制議会である立法評議会は2006年以降、例年3月に2週間程度開催されているが、その権限は限定されており、予算審議等を行うのみにとどまる。また、2011年の憲法改正により、評議員の一部は直接選挙で選出することが規定されたが、これまで選挙によって選出された評議員はおらず、国王が評議員を任命している。
国民による自由な政治活動は認められていないものの、一般国民は豊かな生活を享受しており、国内の政治治安情勢は安定している。
ブルネイは、独立後直ちにASEAN加盟に加盟し、ASEANを第一優先とした外交を行っているが、ASEAN諸国とは別に、イスラムやアラブ諸国とも広く関係を持っている。
2005年の内閣改造時、外務省は外務貿易省に改められ、経済外交が強化された。その他、国際連合、イスラム諸国会議機構(OIC)、アジア太平洋経済協力(APEC)に加盟。
国軍は志願制で、陸・海・空軍の合計約8,000人を有するほか、英軍グルカ兵約1,650人が駐屯しており、王宮等主要な建物の警備を行っている。国王は国防大臣及び国軍最高司令官を兼任している。
経済
石油・天然ガスという豊富な天然資源に恵まれ、ASEAN諸国ではシンガポールと並ぶ高所得国である。資源輸出による収入をもとに、医療費や教育費は無料、個人所得税や住民税を国民に課さないなど、社会福祉の充実が図られている。
しかし、2008年及び2009年の世界金融危機では資源価格が大幅に下落し、ブルネイの経済成長率はマイナスとなった。原油価格の回復から、2010年には再びプラス成長に転じるも、2012年及び2013年は石油及びガスの生産が予想より伸びなかったことから、2013年以降3年連続で再びマイナス成長となっている。また、2015年の世界的な原油価格の大幅下落は、ブルネイ政府予算の縮小等の影響を及ぼしている。
このような、天然資源輸出への依存度が高く資源価格の変動の影響をまともに受ける「モノカルチャー経済」から脱却すべく、ブルネイ政府は2008年に経済多様化を目指した成長戦略を推進する長期的国家ビジョン「ワワサン・ブルネイ2035」を発表。石油・天然ガスへの過剰な依存を脱し、多様化された経済による持続可能な社会国家の実現を掲げて、石油・天然ガスを原料にメタノールや水素を生産する「川下産業」の開発等に取り組んでいる。
農林水産業については、耕地及び放牧地が国土の 1%に満たない状態である。政府は食料安全保障の観点から常に食料自給率向上を目標としているが、鶏卵、鶏肉及び野菜を除き総じて自給率は低く、多くの食品を輸入に依存している状況である。
まとめ
- 面積:5,765km2(三重県とほぼ同じ。愛知県より大きく、茨城県より小さい。)
- 人口:42,1万人(2017年、出展;ブルネイ首相府)
- 首都:バンダル・スリ・ブガワン
- 民族:マレー系(66%)、中華系(10%)、その他(24%)
(2017年、出典;ブルネイ首相府) - 言語:マレー語(公用語)、英語
- 宗教:イスラム教(国教、78,8%)、仏教(8,7%)、キリスト教(7,8%)、その他(4,7%)
- 政体:立憲君主制
- 元首:国王(スルタン)
- 主要産業:石油、天然ガス
- 主要輸出品目:石油、液化天然ガス、化学製品
- 主要輸入品目:機械・輸送用機器、工業製品、食料品
- 主要貿易相手国(輸出):日本、韓国、マレーシア、タイ、シンガポール
- 主要貿易相手国(輸入):中国、シンガポール、マレーシア、米国、日本
(出典;ブルネイ首相府)
- 参考資料:
- Wikipedia ブルネイ
- 外務省HP ブルネイ・ダラサラーム国
- 日本アセアンセンター ブルネイ・ダルサラーム
- 在ブルネイ日本大使館 ブルネイ政治制度
- 日本ブルネイ友好協会
- JETRO 地域・分析レポート「ブルネイの経済多様化は成功するか ‐挑む日本企業の着眼点‐」
- Wikipediaブルネイの国際関係
- 農林水産省 ブルネイの農林水産業概況
- 地図出典:
- 外務省HP わかる!国際情勢「ブルネイという国~“豊かな自然と資源に恵まれた平和な国”と日本の絆」
- 写真出典:
- Curiosity -From Worldwide Instameet 11 Brunei @ Kg Ayer Brunei by Amri HMS
- Sultan Omar Ali Saifuddin Mosque